研究課題/領域番号 |
16654084
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浦辺 徹郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50107687)
|
研究分担者 |
砂村 倫成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90360867)
荻原 成騎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50214044)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 地下生物圏 / 熱水合成装置 / 好熱菌 / 海底熱水活動 / 分解 / 元素循環 |
研究概要 |
本計画の1年目において、地殻内に存在する地下生物圏の分布限界を支配するもっとも重要なパラメータである温度について、セイフリード型高温高圧装置を用いた実験手法が確立した。それを用いた中温菌と好熱菌の菌株のタイムシリーズでの分解実験結果により、微生物の分解は中温菌でも好熱菌でも速度は変わらず、350℃,50MPaでは細胞は1時間以内に分解し、形態も保存されないことがわかった。一方、その温度圧力の海底熱水中には多数(10^4cell/ml程度)の微生物が見られることが一般的で、その起源についてはさまざまな議論がなされてきた(Deming and Baross,1996など)。今回の結果は、それらの細胞が海底面付近で混入したものであることを強く示唆している。 逆から言えば、海底熱水中において微生物細胞がこれまで予想されていたよりはるかに長く形態を保ち、しかも細胞壁に"守られた"DNAは、これまで実測されていたように数秒で熱分解することがないことが分かった。これまで、海底面付近のコンタミネーションを注意深く除いてサンプリングしたので、熱水中の微生物は地下生物圏由来のものとする考えがなされていたが、その説は前提が間違っていたことになる。 我々のグループは、完全に滅菌したin-situ samplerを用いると、陸上の180℃および190℃の地熱貯留槽中の熱水には、微生物細胞はまったく見られないことを明らかにしている。その地熱水には、海底熱水と同程度のエネルギー源となる無機化学成分が含まれており、温度も低いにもかかわらず、微生物活動の痕跡がないという事実は、今回の実験の結論をさらにサポートするものと考られる。 つまり、残念なことであるが、熱水系というエネルギー源の供給が豊富という意味では有利な地下生物圏は、温度の面から大きな制約を持っており、そのバイオマスが大きくならないという特徴を有するのでないかと結論できるのである。
|