研究課題
萌芽研究
瞬間的な燃焼や発火など、短時間で高温に達する化学反応をリアルタイムで追跡し、発熱過程を制御することは、高温条件下でのみ生成が可能な特異な分子の発見や収率の向上につながる。また、化学反応で放出される熱エネルギーを温度の時間変化から算出することにより、反応過程における分子や微粒子の化学結合および内部状態の変化を明らかにすることが可能となる。本研究では、ミリ秒以下の時間で起こる発熱現象をリアルタイムの画像として捉え、発熱体の温度を実時間追跡するための高速温度画像測定装置の開発を行った。最終年度に当たる本年度は、温度校正のための検量線を作成し、実際の反応系の観察に応用した。検量線の作成においては、電流によって明るさの調節が可能な21Wの電球を高速ビデオカメラおよび2次標準である放射温度計で観察した。カメラの光入射部にはダイクロイックミラーと全反射ミラーを組み合わせた波長一画像分割装置を置く方式を最終的に採用した。フィラメントからの光は波長および空間的に分割され、CCD素子に結像する。画像信号をPCに取り込んだ後、二つのフィラメント像の強度を別々に読み取り、その比を放射温度計の示す温度に対してプロットした。フィラメントの電流を変化させて測定した多数の画像から強度比I_<VIS>/I_<NIR>を求め、対応する放射温度計の温度に対してプロットし、検量線とした。実際の測定では、電流の変化に応じて明るさが桁違いに変化して飽和の起こりやすい状況が生じたため、フィラメントとカメラの間に、減光のためのNDフィルターを置き、減光の度合いを系統的に調節しながら測定を行った。その結果、1700〜2300℃の温度領域で良好な検量線を得ることができた。
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