研究課題/領域番号 |
16655032
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分析化学
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
内田 達也 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (30261548)
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研究分担者 |
熊田 英峰 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (60318194)
藤原 祺多夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (90090521)
中野 信夫 理研計器株式会社, 研究部, 副部長
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 水晶振動子微量天秤 / QCM / VOC / 揮発性有機化合物 / ガス検出 / メソポーラス / ナノ細孔 / 化学センサ |
研究概要 |
ナノ細孔薄膜によって気相中の揮発性有機化合物(VOC)を捕集し,これによる薄膜の質量変化を水晶振動子微量天秤(QCM)法で測定することを原理としたガスセンサを開発した。ナノ細孔薄膜は棒状ミセルを鋳型として形成され,孔径数ナノメートルの均一な細孔構造を有するシリカー界面活性剤複合体である。その比表面積は〜1000m^2/gに及ぶ。本研究では,この薄膜を水晶振動子上に固定化することにより,三次元ナノ空間を利用したQCM型のセンサを作製し、特にトルエンの高感度検出を目指した。 作製したナノ細孔薄膜のFTIR-RASスペクトルを測定したところ、細孔内に界面活性剤ミセル、シラノール基と水素結合した水分子の存在が明らかとなった。ミセルは細孔空間を占有してしまうこと、また、水分子はトルエンとシラノール基のπ-カチオン相互作用を阻害することが予想された。トルエン分子を細孔内に効率良く捕集するためにはこれらを細孔内から排除する必要がある。そこで、センサを加熱処理した。そのFTIR-RASスペクトルから、加熱処理温度の上昇にともなってミセル、水分子が細孔内から除去され、孤立シラノール基が生成したことが明らかとなった。 センサをチャンバー内に設置し,高純度窒素ガスフロー条件下でトルエンガスに対する周波数の応答を検討した。その結果,未加熱のセンサでは全く応答が観測されないのに対し、加熱処理したセンサではトルエンの吸着による周波数の減少が観測された。さらに、高純度窒素ガスに切り替えることで周波数は上昇し、始めの値に復帰した。このことから、本センサがトルエンガスに対して可逆的に応答することがわかり、ガス濃度のリアルタイム計測が可能であることを実証された。さらに、周波数の変化量はトルエンガスの濃度に対して直線的に依存し、定量が可能であることがわかった。検量線から決定したトルエンに対する本センサの検出下限値(3σ)は約50ppbであった。濃縮操作を経ずに、ppbオーダーのVOCガスをリアルタイム計測可能なセンサの開発に初めて成功した。
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