研究概要 |
求核剤前駆体とα,β-不飽和カルボニル化合物とのMichael付加反応が、アルコール中で微量のキラルニッケル酢酸塩触媒下で高エナンチオ選択的に進行することを発見した。この反応では、アセトキシル配位子が効果的な塩基として働き、可逆的にメタルエノラートと酢酸が生成したと考えている。 この手法は、微量の安価な触媒による高効率触媒化、アルコール溶媒中、開放系、室温下での高速不斉反応を可能とするなど、グリーンケミカルな物質変換に求められる諸要素を多く満足している。 金属酢酸塩を触媒として用いて求核剤前駆体から求核反応剤を導出し、これを利用する効率的反応の研究例は国内外で殆ど報告されていない。従来の触媒反応には見られない巧妙な求核剤前駆体の活性化は、今後の触媒反応開発に新風を吹き込むこととなり、関連分野で本研究の果たす波及効果が大きい。 酢酸塩で触媒される新しい反応は、以下のようであった。 ・Michael付加/エノールラクトン化反応 ・直接アルドール反応 ・イミン付加反応 ・β-ヒドロキシ-α-アミノ酸合成 ・N-アルキリデンアセトニトリルの1,3-双極性環状付加反応
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