研究概要 |
平成17年度は,超純水中において,光放射圧により横振動を与えたシリカ微粒子(振動型加工ツール)を用いて,シリコン表面の数nmの表面粗さを除去する,ナノ局所平滑化加工技術の検討を行った.さらに微粒子と加工表面の距離をナノメートルオーダで制御することによって加工量制御を行う新たな技術を開発し,以下の研究成果を得た. 1.低出力のCW-Arレーザ光(波長488nm)で捕捉したシリカ微粒子(粒径3μm)に強制横振動を与えるため,ガルバノメータスキャナを利用した振動光学系および干渉フィルタ,フォトダイオード(PD)およびロック院アンプなどからなる振動検出光学系を構築し,前年度に構築した基本光学系に組込んだ.さらに,それを用いて微粒子の振動特性解析を遂行した. 2.ビームスポットの励振振幅を480nm,励振周波数を30Hzに設定し,微粒子を純水中で3次元に捕捉した状態でRq=6nmの表面粗きを持つシリコン基板を100nmステップでZ方向に接近させ,振動振幅を測定する実験によって,130nmの再現性で高精度な位値決めが可能であることがわかった. 3.シリコン表面に対して振動型加工ツールを走査する除去加工実験を遂行した.振動型加工ツールと加工表面の距離を250nmステップで変えながら,レーザ出力150mW,走査速度15μm/sで600回走査した結果,振動振幅が極小値をとる基準位置(Z=0)からZ=1250nm〜1750nmの位置において加工量が最大となることを明らかにした. 4.振動型加工ツールを用いて4×5μmの領域の平滑化加工を行うことにより,初期表面粗さRq=4.3nmの表面の平滑化が進行し,Rq=3.5nmの仕上げ粗さを実現することができた。その加工作用は、マイクロ部品に発生しうる表面粗さの主成分となる空間波長が10^<-7>mのオーダの表面粗さ成分に有効に作用することが確認された.
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