研究概要 |
本研究課題では,微細なアクチュエータの集合体である生物の筋肉が潜在的な柔軟性を持つことに注目して,柔軟なロボットシステムを具現化するためのマイクロ人工筋を実現することを目的とする.すなわち,高電圧の印加によって活発なジェット流を発生する電界共役流体(ECF)を利用することによって閉空間の内圧を制御し,パワーソースをも内在したマイクロ人工筋を具現化し,複数のマイクロ人工筋を直並列に配置した柔軟な運動機構の実現を目指す.本年度は以下の成果を得た. はじめに,実システムへの適用および集積化が可能なセル構造を持つECFマイクロ人工筋を提案し,実現した.すなわち,内圧制御によって軸方向の収縮変位を得る繊維強化シリコーンゴムチューブ,ECFに電圧を印加し圧力源となるジェット流を発生するECFジェット発生部,およびECFを蓄えるECFタンクを入れ子上に配置した形状を具現化し,駆動を確認した.なお,寸法はφ13mm×10mmである.また,駆動特性実験の結果,この人工筋セルの最大収縮変位は1.2mmであり,軸方向の最大発生力は0.17Nであった. つぎに,製作したECFマイクロ人工筋セルの変位制御システムを構築した。レーザ変位計によりセルの先端変位を測定し,目標位置との偏差からPD制御により印加電圧を操作した.収縮目標を0mmから1mmまで0.2mmごとのステップ状に変化させた際のステップ応答の結果,良好な制御結果を得た. 以上のように,本年度の成果によって,ECFマイクロ人工筋セルの実現および駆動制御が達成された.
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