研究概要 |
最終年度は,トップダウン的手法により,流動抵抗最小で且つHepG2の細胞密度が10^7-10^8cells/mlを支持しできる構造を設計した,1)SU-8にて型どりしたPDMS製の角柱群構造,2)アクリル系樹脂の立方体群構造,と3)Tissue Engineeringに一般的に用いられるポリ乳酸多孔質体(平均空孔直径300μm)について,細胞接着能力の評価と流動抵抗測定,培養と計算による細胞支持密度の測定と推定を試みた. 即ち,1)については,縦横約30mm×20mm高さ400μmの平板中に40μm角の角柱が20〜40μmの流路幅の最適化された密度で林立するデバイスを作成し,コラーゲンコートにより細胞接着能力を向上させ細胞を接着させることに成功した.2)は,一辺40μmの立方体が20μmおきに配置された構造を2次元光造形装置により作成し,同じくコラーゲンコートにより細胞接着能力を向上させ細胞を接着させることに成功したが,細胞接着能力は1)に比べて著しく低かった.Scaffoldの流動抵抗の透過率による3者の評価は,1)の構造体では透過率の定義が困難であることから,ダルシー流れを仮定できる2)と3)については,scaffoldの透過率を種々の流速について測定して,1)とまったく同じサイズのデバイスに充填した際の流動抵抗を数値シミュレーションにより推定した.その結果,流量0.4ml/min近傍では,流動抵抗は,1),3)=2)の順番に大きくなった.このことは,構造を最適設計した平板型デバイスの優位性を示している.環流培養によるscaffoldの代謝能力の評価については,培養条件の絞り込みが本年度末までに間に合わず,現在継続中である.さらに,本研究で使用した1)の構造は,constructal理論によるトップダウン的な流路構造で設計したものであるが,常に通常の並列流路が最適となり,ボトムアップ的計算法による結果と一致しなかった.
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