研究概要 |
本研究では,構造が簡単で,可動部質量が小さい,容易に光路を90°変化可能,光の到達位置の微調整が容易といった特長をもち,光ディスクや光スイッチに利用できる新しいMEMS技術を利用した光路制御マイクロメカニズムを提案し,その有効性を検証することを目的としている.そのために本年度は,次のことを行った. 1.駆動電圧の低減方法の検討 これまで光路制御マイクロメカニズムの駆動電圧を275Vに設定していたが,その低減方法を検討するために,光路制御マイクロメカニズムを構成する2個の基板間のギャップや薄膜ミラーの厚さ,絶縁膜の厚さが駆動電圧に与える影響を実験的に調べた.その結果,これらが駆動電圧に影響を与えることを明らかにし,駆動電圧130Vで安定して薄膜ミラーを駆動できることが明らかになった. 2.光の照射スポット位置の高精度化の検討 光の照射スポット位置の測定精度を向上するとともに,試作光路制御マイクロメカニズムの組み立て調整を慎重に行った結果,照射スポット位置を安定的かつ良好な精度でスイッチングすることが可能になった.また上記(1)と同じ条件での実験結果が照射位置精度に与える影響を評価した結果,ギャップを縮小することで,精度が向上することがわかった. 3.出力チャンネル数を増加させた光路制御マイクロメカニズムの試作と大ステップ応答実験 これまでの試作光路制御マイクロメカニズムは出力チャンネル数が4チャンネルであったが,本年度は8チャンネルに拡張して動作試験を次の様に行った.その結果,隣り合うチャンネル間のみならず,任意のチャンネル間の切り換えも安定してできることを確認できた.
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