研究概要 |
最終年度の科学研究費助成により,ホログラフィック偏光干渉顕微鏡に用いるための,デュアルタイプホログラムの開発と映像実験を行い,下記に挙げるいくつかの成果を得ることができた。 スピロピラン誘導体を各種ポリマにドープした高感度なホログラフィック光メモリを前年度までに開発し,同メモリを用いた影像実験を行った。この色素は紫外光によって容易に構造異性することでも知られており,フォトンモード色素として非常に有望である.近紫外領域でのハイパワーLEDを使用し,コンパクトな紫外光アドレス型のホログラフィックメモリを構成した.紫外光照射量に応じて,スピロピラン型とフォトメロシアニン型の分子数比を制御し,内部非線形感受率の大きさを等価的にコントロールする光アドレス技術の成果を得た.低光強度でも高い非線形光学性を発現できることができた.但し,実用性に十分耐えうるものを開発するには次の点でまだまだ発展途上な技術であることは否めない.ブレークスルーとしては十分な空間分解能を保ちつつ光波混合偏光干渉計のコントラスト比をいかに高められるかが重要である.これには,プレ露光したメモリ情報との位置決め精度の問題をクリアしなければならないことも分かった.19年申請した科学研究費が認められた暁には,これまでに得られた成果・課題にもとづき,更なる研究開発を行いたいと考えている.同課題にて得られた成果はホログラムメモリのみならずレーザ顕微鏡,近接場顕微鏡等への応用も期待でき,この附帯的な成果についてもいくつかの論文誌で掲載された。本研究についての今年度の成果は現在投稿中である.
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