研究課題
萌芽研究
磁気光学材料(磁場印加で屈折率が変化する)を用いたリング共振器光スイッチを提案した。入力した直線偏光は,右回りと左回りの円偏光に分解して考えることができる。磁場を印加すると、右・左回転円偏光それぞれに対する屈折率変化の符号が異なるため、共振特性は2つのピークに分裂する。Bi置換Y_3Fe_5O_<12>膜を用いると10dB以上のスイッチングゲインが期待できることがシミュレーションにより確認された。このデバイスの特徴は、入力光の偏光面によらず(TE波でもTM波でも)ほぼ同じ共振スプリット特性が得られるため、集積化が難しい偏光素子が不要なこと、および電流駆動のため低電圧動作が可能なことである。磁気光学効果の大きいBi_3Fe_5O_<12>(以降BIG)を用い、18turnの直径1μmの銅線コイルで磁場を発生した場合、40mV、1mAで直径10μmのリングスイッチを駆動できることが試算された。動作速度は磁区の反転速度で決まり、その時間は10^<-2>ms程度と報告されているので動作周波数は100MHz程度と速くはない。BIG膜をRFスパッタ法により作製した。室温で作製したアモルファスBIG膜をレジストプロセスとウェットエッチングにより光導波路に加工し光伝播損失を測定した結果約100dB/cmを得た。BIGの光伝播損失が大きいのでSi導波路を直列に接続した試料を作製し、磁場を導波路方向に印加しファラデー効、果を測定した。0.2Tの磁場印加によって光(波長1.5μm)強度が約3.2%変化した。この値からファラデー回転角として363deg/cmが得られた。この値は単結晶薄膜の約1/28である。一方ファラデー効果性能指数=ファラデー回転角(deg/cm)/吸収損失(dB/cm)として3.64(deg/dB)が得られた。この値は単結晶薄膜の約1/30の値である。室温で形成したアモルファス膜で比較的大きな磁気光学効果が得られたことから、光配線LSIの金属配線層の上層に磁気光学効果光スイッチを作製できる見通しが得られた。今後リング共振器を試作しスイッチ動作を実証したい。
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第54回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集
第53回応用物理学会開係連合講演会講演予稿集 第3分冊
Proc. 2nd International Conference on Group IV Photonics (Antwerp, Belgium, Sept.21-23, 2005)
ページ: 165-167
第52回応用物理学関係連合講演会講演予稿集 第3分冊
Abst.Int.Conf.on Solid State Devices and Materials (SSDM2004)
ページ: 940-941
10022540690
1st International Conference on Group IV Photonics