研究課題/領域番号 |
16656113
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
通信・ネットワーク工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 栄一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (10333650)
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研究分担者 |
赤澤 正道 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 助教授 (30212400)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 半導体レーザ / 多重伝送 / カオス / カオス同期 / 結合写像格子 / 波長分散 |
研究概要 |
本研究は、複数の半導体レーザ(LD)で発現する互いに直交したカオス信号に情報を乗せ、それらを多重化することにより、通信容量を飛躍的に増大させる光通信方式の創出を目的とする。具体的には、複数のLDから構成される結合写像格子(CML:Coupled-Map Lattice)を送信部と受信部に配置し、送信CMLからの複数の「カオスチャネル」を一本の光ファイバ内に多重化し、送信CMLとカオス同期する受信CMLにおいて多重カオス信号を分離する光通信方式である。昨年度は、光電場レート方程式とキャリアレート方程式を数値計算することにより、CMLの振る舞いを詳細に検討し、LDの注入電流と光結合度を選ぶことにより、CMLの各LD出力を直交できること、送信CMLと受信CML問の相関はほぼδ_<ij>となると(ただし、iは送信CMLのi番目のLD、jは受信CMLのj番目のLDを示す)を明らかにした。さらに、2チャネル伝送システムをシミュレートし、1Gbit/sの伝送レートでの2チャネル伝送が可能であることを示した。しかしながら、これらの理論解析は伝送距離ゼロのいわゆるback-to-backの条件で行われていた。実際のシステムにおいては光ファイバの波長分散とカー効果により受信波形は送信波形と異なるため、送信CML.と受信CML間のカオス同期は保証されない。これまでの研究では、分散シフトファイバが仮定されており、送信LDと受信LD間のカオス同期を実現するために許容される分散量は必ずしも明確化されていなかった。そこで、光ファイバ中の光電場を記述する非線形シュレディンガー方程式を数値解析することにより、一対の送受信LDについてカオス同期に及ぼす波長分散とカー効果の影響を系統的に調べた。最初に、フーリエ変換を必要とする従来の非線形シュレディンガー方程式解法より簡便な線形化Crank-Nicolson法により精度良く数値解が求まることを示した。次に、上記数値解析法に基づき、受信LDに光帰還をかける閉ループ方式と光帰還をかけない開ループ方式の比較を行った。その結果、カオス同期を達成するための許容波長分散量は閉ループ方式の方が大きいこと、光ファイバの損失を補償するために挿入される光ファイバアンプをブースタアンプとして送信側に配置するとカー効果によりカオス同期が得られにくく、プリアンプとして受信側に配置する場合にカオス同期が得られることを明らかにした。今後、CML構成における光ファイバの波長分散とカー効果の影響を解析し、通常のカオス同期方式との優劣を明確化する。
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