研究概要 |
本研究は道路舗装面を透水性のものにすることで,都市における生活の快適性の機能を保ちつつも熱環境の改善と一体となった水環境の保全を実施する方策としての透水性舗装に関する研究を遂行するに当たり,その機能設計あるいは施工後の機能効果確認および機能保持のための維持管理を行うために必要な蒸発量をモニタリングするナノ薄膜を利用したマイクロセンサの開発を試みたものである.本年度は,蒸発量センサの製作を主とする研究開発を行った.主な研究開発項目はMgCr2O4-TiO2系セラミックスの焼結体を用いた高周波プラズマスパッタリング法による薄膜作成の試行であった.具体的には高周波プラズマスパッタリングによる薄膜作成によって,直径100mm,厚み5mm以下のセンサを作成した.蒸発量センシング機能の定量評価は,重量変化により水の蒸発量を計測する装置を組み立て,それをセンサによりモニタリングすることで行った.センサの蒸発量は電圧信号で検知でき,この評価実験用として電圧計を用いた. また,作成した蒸発量センサの透水性舗装への適用を主とする研究開発を行った.主な研究開発項目として,センサを透水性舗装表層に埋め込み,最表層の温度センサと蒸発量の定量的関係を計測した.これにより,透水性舗装のヒートアイランド効果への効用を評価することが可能となった.実験は実際に施工されている透水性舗装の箇所を使用して行った.蒸発による舗装面の温度低下の確認は熱電対と赤外線放射計によって計測した.計測にあたってはパーソナルコンピュータとデータロガーを用いた計測システムを構築してデータ収集し,蒸発量と舗装体温度の関係についての考察を行った.
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