研究概要 |
昨年度開発した動的経路誘導システム『PRONAVI』をベースに,要素技術に関する基礎的研究を行った. プローブ情報は,広範囲の道路交通情報を収集可能であるが,プローブカーが走行した道路区間,時刻のみの情報が利用可能である.そこで,リアルタイムの交通状態変化をより正確に把握することが可能なVICSデータとの融合方法を開発した.具体的には,VICS情報から混雑や渋滞が発生したリンクを特定し,これを旅行時間情報に変換した上で蓄積されたプローブ情報と比較する.これにより,非日常的に発生した混雑や渋滞を旅行時間予測に効率的に利用することが可能となった.また,旅行時間予測精度の向上を図るため,交差点右左折時の遅れ時間を分析し,その結果を反映した最適経路案内システムを構築した.そして,それらの要素技術をPRONAVIに実装し,昨年度のシステムと比較して旅行時間予測精度が大きく向上することを実証した. 次に,より環境負荷の少ない公共交通への転換機会を創出するため,名古屋都市圏を網羅する鉄道ネットワークや時刻表データベースを構築し,そこにパークアンドライド駐車場の情報をも組み込んだマルチモード経路案内システムを構築した.また,それをPRONAVIに実装した上でインターネットを介した情報提供実験を行い,モニターの高い受容性を確認した. ここで,より広範囲でプローブ情報の収集・提供を行うためには,データ通信コストの大幅な削減が必要となる.そこで,プローブカーの通信頻度について検討を行い,旅行時間予測を行うために必要なデータ通信頻度を明らかにし,既存の車両管理システム等の低頻度データを用いても旅行時間予測が可能となることを示した. さらには,動的交通シミュレータの開発,ならびにそれを用いたプローブ旅行時間情報に基づく動的OD交通量推定アルゴリズムを開発し,交通需要の変動を精緻に再現できることを確認した.
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