研究課題/領域番号 |
16656210
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
複合材料・物性
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
岸 肇 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (60347523)
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研究分担者 |
村上 惇 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 教授 (60047610)
松田 聡 兵庫県立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40316047)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 複合材料 / マトリックス樹脂 / エポキシ樹脂 / 双極子モーメント / 極性 / 界面 / 接着 |
研究概要 |
複合材(FRP)物性向上のために、マトリックス樹脂に改質剤をブレンドした例は多いが、その組成設計は経験によるところが大きく、有力な組成設計主導原理が必要である。本研究は、分子間/複合材界面相互作用の有力支配因子として双極子モーメント(DP)に着目し、樹脂物性、界面接着性、複合材料物性の相関を吟味することを目的とした。分子軌道法計算による高DPモデル物質選択を経たH16年度研究の結果、高DP構造単官能エポキシ(グリシジルフタルイミド、以下GPI、DP=5.40)のエポキシ架橋構造への導入により、金属被着体へのせん断接着強度が1.5〜1.7倍に増加した。 H17年度は、まずその樹脂/被着体接着性発現メカニズムの解明に取り組んだ。FT-IR界面解析により、高DP構造を有するGPIが硬化過程にて樹脂/アルミニウム界面付近に高濃度化することが知られた。つまり、高極性金属面付近に樹脂中の高DP成分であるGPIが引き寄せられ、平均添加量に比較して高濃度化した傾斜構造が生じ、結果としてGPI構造(特にイミド骨格)が被着体と強い引力的相互作用を持つことにより接着強さ向上がもたらされたとのメカニズムが考えられる。一方、接着強さの応力モード依存性を調べるために、はく離接着強さについても評価したところ、せん断接着強さに比較してさらにGPI添加効果は顕著であり、GPI添加量25%付近では無添加樹脂の4倍以上のはく離接着強さを発現した。但し、GPI添加量が25%を超えると両接着強さ共に低下傾向を示した。このメカニズム解明のため樹脂硬化物の破壊靭性を評価したところ、接着強さのGPI添加量依存性とバルク樹脂靱性のGPI添加量依存性が著しく類似した傾向を示すことがわかった。接着試験時の破壊様式が接着剤樹脂内の凝集破壊モードであったことを合わせて考察すると、単官能エポキシGPIの添加量が一定の範囲を超えると、架橋密度低下によるバルク樹脂靭性低下が顕著となり、低応力での破壊につながると考えられる。以上を踏まえ、炭素繊維強化複合材料(CFRP)用にマトリックス樹脂組成を設計することができた。
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