研究課題/領域番号 |
16657025
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・行動
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
沼田 英治 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70172749)
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研究分担者 |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90254383)
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (70347483)
関 隆晴 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (50171327)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | カブトエビ / 初期発生 / 光形態形成 / 光受容物質 / オプシン / レチナール / アレスチン |
研究概要 |
アジアカブトエビの卵が暗黒下におかれると、決まった段階で胚の形態形成が停止し、光が照射されると即座に形態形成が再開される。本研究は、この現象を発生学的、生理学的に詳細に記述し、光応答にかかわる生理機構を明らかにすることを目的とする。昨年度は、発生を停止する発達段階が器官形成の初期段階にあたること、および発生の再開に青色光および紫外線が有効であることを明らかにし、成体で発現している新奇オプシン遺伝子3種をクローニングした。本年度は、RT-PCR法とRACE法を用いることで、さらに新奇2種の遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定して進化系統学的解析を行った。これら5種のオプシン遺伝子のうち、1種はアミノ酸配列から青色光および紫外線感受性オプシンであると推定されたたものの、のこりの4種のアミノ酸配列は系統樹上で独立しており、吸収特性を予想することはできなかった。これはこの4種が甲殻類独自のオプシンであることを示している。さらに、これら5種の遺伝子すべてが成体の複眼と単眼、ノープリウス幼生において発現していることが確認された。また、このうちの2種が暗条件下で発生を停止した胚で発現していることが明らかになった。この「胚で発現する2種のオプシン」がアジアカブトエビにおける「光による胚発生の再開」に関与している可能性がある。さらに、オプシンタンパク質の不活性化に関わるアレスチン遺伝子についてもクローニングを行い、その発現を調べたところ、胚での強い発現が確認された。さらに、高速液体クロマトグラフィーによって、成体の複眼・単眼からレチナール(11-シス型を含む)が検出され、発生停止中の卵にもレチナールの存在する可能性が示された。これらの結果は「胚がオプシン系のカスケードを用いて光受容を行っている」という仮説を強く支持するものである。
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