研究課題/領域番号 |
16657061
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 国立国際医療センター(研究所) |
研究代表者 |
志村 まり 国立国際医療センター(研究所), 難治性疾患研究部難治性疾患研究室, 室長 (90226267)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2006年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 走査型蛍光X線顕微鏡 / 元素分布 / 細胞 / 医学応用 / リン酸化 / ナノビーム / 高輝度蛍光放射光 / 画像化 / 高輝度放射光 |
研究概要 |
代表者(志村)はこれまでに、理化学研究所播磨研究所(SPring-8)と大阪大学が共同で開発した世界最小のナノビームによる走査型蛍光X線顕微鏡(SXFM)を用いて、哺乳動物細胞内の元素分布を測定することに成功している(Cancer Research誌)。SXFMは比較的高エネルギー元素の検出には有効であるが、生物学的にも重要な低エネルギー元素、カルシウム、リン、カリウム等の検出は難しい。主な原因である大気中のアルゴンガスおよび細胞試料台(SiN)基板成分のシリカのバックグラウンド除去は必須となった。基板試料を高分子膜のプロレンに代えたところ、シリカによるバックグラウンドは除去できた。さらにプロレン膜は生体親和性に欠けることから、プロレン膜表層にカーボン加工したところ細胞増殖は良好となった。これらより、SiN基板の欠点を補える新しい基板が可能となった。しかし、これらの基板作成は、カーボン加工が手軽に行えないことから効率に欠ける。そこで、理化学研究所の前島博士の協力により、他の可能性も試行した。目的とする細胞を浮遊化し、固定後ゼラチン・シュークロース溶液で凍結、1μmのクライオ切片を作製しプロレン膜上で測定したところ低エネルギー元素も良好に測定できた。切片であるために、元素分布の空間分解能はさらに増大した。また、連続切片を得ることで、同一細胞の免疫染色など既知の分化・腫瘍マーカーと元素分布の比較を得ることが可能となった。大気中のアルゴンガスについてはヘリウムガス置換から真空中で測定を行うことで完全に除去する方針である。真空での測定は、低エネルギー元素の検出を容易にし、良好な感度が得られるからである。SXFM真空凍結ステージの開発は、大阪大学(山内ら)と共同で行い、7月に試行予定である。以上、本研究では、プロレン膜の表層カーボン加工による付着細胞および浮遊細胞での凍結切片での観察により、生物学的に重要な低〜高エネルギー元素の網羅的な測定が可能となった。今後の課題は、細胞固定による元素の損失を考慮すると、細胞瞬間凍結によるクライオ切片での測定が有用となる。本システムは次第にクライオ電顕システムに類似しているが、用途に応じて、大気中および真空中の測定環境が可変な柔軟な測定システムを確立したいと考える。
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