研究概要 |
本研究では、C_3-C_4中間植物(Diplotaxis tenuifoliaとMoricandia aevensis)とC_3作物(ダイコン)との間で属間交雑を行い、ゲノム混合比が異なる系統(複半数体、複二倍体、二基三倍体)および一対染色体添加型系統のモデル植物を作出し、これらの系統における光呼吸に関わる諸形質の発現パターンを調べるとともに、光呼吸制御の遺伝機構をゲノム、染色体および遺伝子レベルで明らかにし、光呼吸の効果的な制御による光合成物質生産の向上に関する新たな知見を探ることを目的にしている。 18年度の研究成果として 1.C_3-C_4中間植物(D.tenuifolia, DtDt,2n=22)とC_3作物(ダイコン,R.sativus, RR,2n=18)との属間交雑BC_3S_1およびBC_2S_2世代で、11タイプ(a-k)の一対染色体添加型ダイコン系統(RR+ldtdt,2n=20,DALs)のうち、a, c, d, i, kの5タイプ及び未同定のxタイプの一対染色体添加型ダイコン植物(DALs)を育成した。 2. 6タイプ8個体の一対染色体添加型ダイコン系統(DALs)におけるCO_2補償点の測定結果、aタイプは41.3±2.5 u mol mol^<-1>を、cタイプ;43.7±1.0、dタイプ;43.7±1.4、iタイプ;42.4±0.4、kタイプ;42.7±1.2および未同定のxタイプ;42.9±2.1u mol mol^<-1>を示した。 両親種であるD.tenuifolia(C_3-C_4中間植物)とダイコンは、それぞれ19.8±3.2 u mol mol^<-1>と40.5±1.8 u mol mol^<-1>を示した。 今年度に得られた6タイプのDALsでは、C_3-C_4中間植物のような低いCO_2補償点を示す系統は得られなかったが、現在残りの6タイプ(b, e, f, g, hおよびj)の一対染色体添加型ダイコン系統を育成するための実験を進めている。
|