研究課題
萌芽研究
本研究ではアブシジン酸処理により高い耐凍性を発揮するヒメツリガネゴケを材料として用い、低温耐性因子のスクリーニング系の確立と遺伝子の単離を行うことを目的とした。最終年度である18年度は、アブシジン酸非感受性のAR7変異株を用いて解析を行った。野生株は、そのプロトプラストにアブシジン酸応答に関わる制御因子PpABI3をトランジェントで発現することによって、いわゆるbrood cellと同様の形態を示すとともにアブシジン酸のない状態でもマイナス10度の凍結まで耐えてコロニーを形成することができた。同様の実験をAR7株についても行ったところ、brood cell形成は正常であったものの、PpABI3形質転換体は凍結には感受性であった。この形質転換体をアブシジン酸処理した後に凍結実験を行ったが、やはり細胞は凍結耐性を獲得することができなかった。糖および遺伝子解析の結果、デハイドリンなどの低温耐性関連遺伝子はAR7株でも野生株と同レベルまで発現したが、糖蓄積には野生株と差が見られた。特にアブシジン酸処理特異的に発現する3糖テアンデロースについてはAR7株で蓄積が極端に少なかった。以上の結果から、AR7変異株はPpABI3に依存しないシグナル経路に欠損があり、3糖合成に関わる遺伝子の発現が抑制された結果、耐凍性が減少したことが推察された。
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