配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
昼行性の鱗翅目昆虫の中には食草に含まれる特異的な二次代謝物を体内に集積することによって身を守っているものが多く知られている.とくに鱗翅目成虫の翅に集積される化合物群に注目し,それらの蓄積過程について,植物側における二次代謝物質動態ならびに昆虫側における化学感覚受容,取込過程,集積・代謝効率などについて調べた. 1)ウマノスズクサを食草とするジャコウアゲハ族各種およびギフチョウ族において,食草由来有毒成分ァリストロキア酸をはじめとするアポルフィン系アルカロイドの虫体含有量を調べた.トリバネアゲハの肉角防御分泌液よりアリストロキア酸ギフチョウの蛹からアリストラクタム類を検出した.しかしいずれも翅への蓄積は認められなかった. 2)ウマノスズクサの培養細胞を作成し,脱分化したカルスから根および葉茎に再分化させた組織におけるアリストロンやアルカロイドのマグノフロリンなどの特異成分の含有量をHPLCなどを駆使して調べた.これら成分の生合成経路について考察した. 3)アゲハチョウの一種ホソオチョウにおける寄主認識に関わる食草成分について追究した.その結果,幼虫の摂食刺激物質として,アリストロキア酸,セクォイトール,モノガラクトシル・ジリノレノイルグリセロールおよび糖類の協力作用を電気生理実験によって明らかにした.とくに,幼虫の口器styloconic sensillaにおける二次代謝物に対する刺激応答シグナルの精密な分析手法を確立した.これにより,虫体蓄積される物質に対する鋭敏な化学受容応答性が適応的に機能していることが判明した.
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