研究概要 |
本研究の目的は,ほ場内移動用の小型選果ロボットのプロトタイプを設計開発することにあり,次のような基本構成と機能を実現することにした。すなわち,選果情報は偏光フィルタ付きカメラ複数台による果実全画面情報にし,品質と等級の判別は,形状,質量,色,病害虫等による傷など,生産現場の評価基準に準じて実施した。ほ場実験はピーマンやトマトなどの果菜類栽培ほ場で行い,位置情報と併せて,品質・収量マップの作成を試みるとともに,栽培履歴や品質情報の農産物付加システムの提案を行うことにした。研究成果は以下の通りである。 1.すでに試作したてある偏光フィルタ付特殊照明とCCDカメラの組み合わせによるポータブルな果実全画面リアルタイム計測システムによるピーマン果実を対象にした機能調査実験データを用い,品質・等級判別のためのアルゴリズムを開発し,小型の移動式選果ロボットの基本設計を実施した。 2.研究代表者が発明した多層コードシステム及び情報付き農産物ビジネスモデルに関する知見(特願2004-122820,特願2004-116536)を基礎として,ITと知財による特産農産物創造のビジネスモデルを提案した。その実証のため,協力企業であるリンテック(株)のラベル編集機能付き印刷システムを利用した2次元コード付き農産物の高級デパートでの店頭販売実験を実施し,情報付き農産物が食の市場で競争力のあることを実証した。 3.上記の本庄PF研究会と連携した社会実験は,官邸が進める「立ち上がる農産漁村」の優良事例として選定表彰され,平成18年度の農業白書の中のモデル事例として紹介される見込である。 4.以上の研究成果は国際学術雑誌に掲載されるとともに,本研究成果を解説した図書「精密農業」を出版した。
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