研究概要 |
我々は、岩手県北の広域地域において平成17年までに26,472名の大規模コホート集団を作成し、現在、住民情報、地域発症登録による脳卒中、心筋梗塞、心不全の罹患情報および地域の介護認定情報から集団の追跡を実施している。本研究では、今後の追跡情報との照合を行うため、健診実施時に施行した眼底写真についてデータベース化を実施し、さらに画像データから眼底動脈の細血管瘤を検索して他の危険因子との関連を横断的に行った。眼底写真は、35mmロールフィルムからフィルムスキャナを用いて、二戸地域の研究参加者9,411名のうち、眼底検査を実施した7,670名(81.5%)についてデジタルデータ化した。また、二戸地域の一部について眼底写真から細血管瘤を確認した。全地域の眼底検査実施者22,266名(84.1%)のうち、混濁あるいは散瞳不全により判定ができない629名を除いた21,637名(97.2%,男7,455名,女14,182名)を解析対象として、眼底出血あり(243名、1,1%)及び糖尿病性網膜症あり(144名、0.7%)群についてそれぞれ、開始時調査にて得られた検査結果との関連を横断的に解析した。眼底出血には男女とも血圧、HbA1cが強く関連していた。尿中アルブミンは男でのみ、総コレステロールは女でのみ眼底出血と関連がみられた。糖尿病性網膜症では男女とも血圧、総コレステロール、中性脂肪、HbA1c、尿中アルブミンに関連がみられた。細血管瘤については2,780名について画像を確認したが、6名(0.2%)のみの確認にとどまった。年齢を調整してもBMI、血圧、LDLコレステロール、HbA1cが高く、中性脂肪、CRP、尿中微量アルブミンでは低かったが、いずれも有意ではなかった。今後、画像確認の精度をさらに確認するとともに、他地域についてデータの蓄積と確認を進めて縦断的な解析を行う。
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