研究課題/領域番号 |
16659190
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡子 順天堂大学, 医学部, 講師 (20317431)
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研究分担者 |
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 講師 (20317382)
榎本 信行 順天堂大学, 医学部, 助手 (20348973)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 薬物性肝障害 / 肝マクロファージ / 腸管透過性 / CRP / NAFLD / アセトアミノフェン / TNFα |
研究概要 |
本研究の目的は、薬物性肝障害の機序を消化管・肝機能枢軸の面から明らかにすることである。臨床症例における検討では、薬物性肝障害においてトランスアミナーゼやγGTPと、肝マクロファージ(Kupffer細胞)からのサイトカイン産生の指標であるCRPとの間で正の相関が認められた。また、動物モデルに肝障害性物質を投与する系でも、腸管透過性を亢進させる処置は肝マクロファージの活性化増強とより高度の肝障害を招来した。以上より薬物性肝障害においても腸管透過性の亢進が、マクロファージのエンドトキシン感受性を増強することにより肝障害を惹起する仮説が支持された。 近年、薬剤に起因するものを含め、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症メカニズムにも、腸内細菌叢の変化やKupffer細胞の活性化が関与している可能性が考えられている。我々は2型糖尿病発症モデルマウスであるKK-AyマウスがNAFLDを自然発症することを見出したが、本年度はこのKK-Ayマウスを用いてアセトアミノフェン誘導肝障害の増悪とそのメカニズムについて検討した。KK-Ayマウスではアセトアミノフェン投与後、コントロールと比較し肝小葉中心静脈域(Zone3)で強い炎症所見を認めた。肝組織のGSH含量はKK-Ayではすでに低下しており、アセトアミノフェン投与により、酸化ストレスマーカーの著明な上昇が認められた。これはKK-Ayではアセトアミノフェンによる肝細胞中の活性酸素種(ROS)産生量が増加する一方、ROS消去能の低下が関与していると考えられた。以上より、腸管透過性亢進による肝マクロファージ活性化を介した酸化ストレス増強と共に、酸化ストレスに対する防御機構の低下が薬物性肝障害惹起に重要な役割を果たしていることが明らかにされた。
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