研究課題/領域番号 |
16659209
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中島 康秀 産業医科大学, 医学部, 教授 (20038780)
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研究分担者 |
筒井 正人 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70309962)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | Asymmetric dimethylarginine / 血管 / 動脈硬化 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / マウス / アンジオテンシン / 酸化ストレス |
研究概要 |
【目的】L-アルギニンアナログは、L-アルギニンと競合して一酸化窒素合成酵素(NOS)の活性を阻害すると考えられている。しかし、我々は、合成L-アルギニンアナログであるL-NAMEによる血管病変形成が、実はNOS活性阻害を介さない機序で惹起されるという意外な事実を見出した。本研究では、内因性L-アルギニンアナログであり重要な生体内NOS阻害物質とみなされているAsymmetric dimethylarginine(ADMA)による血管病変形成にも、NOS阻害を介さない機序が関与するのか否かを検討した。 【方法】ADMAをマウスに4週間皮下投与し、冠動脈病変形成をMasson染色により評価した。 【結果】ADMAの長期投与は、野生型マウスの微小冠動脈に有意な血管病変を引き起こした。重要なことに、ADMAの長期投与は、内皮型NOS(eNOS)欠損マウスの微小冠動脈にも同程度の血管病変を引き起こした。これらの血管作用はL-アルギニンの同時投与によって抑制されず、また生体内及び冠動脈のNO産生はADMAの長期投与によって阻害されなかったことから、NO非依存性の機序が示唆された。ADMAの長期投与は、冠動脈におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の発現並びにSuperoxideの産生を、両マウスにおいて同程度に増加させた。アンジオテンシンII1型受容体(AT_1)拮抗薬を同時投与すると、これらの増加反応及び血管病変形成はすべて有意に抑制された。 【結論】ADMAがeNOS非依存性に血管病変を惹起することを初めて明らかにした。この機序には、AT_1受容体を介した組織レニン・アンジオテンシン系の活性化と酸化ストレスの増大が関与していることが示唆された。本研究は、従来のNO研究の常識を大きく覆し、ADMAの新規血管作用を世界に先駆けて解明した点に意義があると考えられた。
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