研究課題/領域番号 |
16659232
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
道勇 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90293703)
|
研究期間 (年度) |
2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | Dorfin / 酵母Two-Hybrid / マススペクトロメトリー / MAP1B / VCP / p97 / 筋萎縮性側索硬化症 / パーキンソン病 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
1.Dorfinをbaitとする酵母Two-Hybridシステムを構築し、Dorfinと相互作用するタンパク質をヒト脳cDNAライブラリーをスクリーニングすることで探索した。Dorfinと相互作用するヒト脳において発現している候補タンパク質を複数同定した。そのうちMAP1B (microtubule-associated protein 1B)は、パーキンソン病、アルツハイマー病において病変部位に特異的に見られる神経細胞内ユビキチン化タンパク質凝集体であるレビー小体、神経原線維変化に存在していることが知られているが、Dorfinはこれらの神経細胞内タンパク質凝集体においてMAP1Bと共局在していることが明らかとなった。DorfinはMAP1BのC末側と結合し、神経細胞内ユビキチン化封入体の形成に関与している可能性が示唆された。 2.Dorfinを発現させたHEK293培養細胞からDorfin複合体を分離し、マススペクトロメトリーを用いてDorfin結合タンパク質を探索した。複数の候補タンパク質を同定したが、そのうちVCP(valosin-containing protein)/p97は培養細胞内でDorfinと共局在しており、in vitroおよびin vivoにてDorfinと結合していることが明らかとなった。マウス組織及び複数の培養細胞内でDorfinは400kD-600kDの複合体を形成していたが、複合体内でVCP/p97と結合していることが示唆された。VCP/P97のドミナントネガティブ変異体はDorifnのin vivoでの変異SOD1に対するユビキチンリガーゼ(E3)活性を阻害した。以上の結果からDorfinのE3活性の発揮にはVCP/p97を必要とすることが明らかとなった。VCP/p97はAAA+ファミリーに属するATPaseであるが、膜融合や転写、細胞周期など多岐に渡る細胞機能に関与するといわれている。その中でも最近パーキンソン病やポリグルタミン病などの神経変性疾患への関与を示唆されているERAD(小胞体関連輸送)において、VCP/p97は小胞体の内側からポリユビキチン化されたタンパクを細胞質側に引きずり出してプロテアソームへ移送する働きを担っていると考えられている。またVCP/P97のドミナントネガティブ体を培養神経細胞に導入すると、神経変性疾患の障害を受けた神経細胞に認められるのと同様の空胞化を生じることが報告されている。DorfinがVCP/P97を通じてERADに関与することにより、神経変性疾患の病態に関わっていることが推測された。
|