研究課題/領域番号 |
16659239
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代謝学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 直秀 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90174680)
|
研究分担者 |
高橋 恒夫 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員(客員教授) (50291307)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 胎盤細胞 / hVEGF / bFGF / angiopoietin / 虚血マウス |
研究概要 |
私達はヒト胎盤を酵素的に処理して培養し、その上清中あるいは細胞抽出物中のヒト血管内皮成長因子(human vascular endothelial growth factor : hVEGF)を測定した。その結果、胎盤由来間葉系細胞(human placenta-derived mesenchymal cells : hPDMC)が多量のhVEGFを産生することを見い出している。胎盤は、これまで医療廃棄物として処理されてきた。しかし胎盤は有効利用可能な臓器であり、再生医療や血管新生療法のための細胞資源として極めて有用であると考えられるが、このような発想は文献や学会報告を見る限りなされていない。本研究の目的は、(1)hPDMCから産生されるhVEGFの生物活性をヒト臍帯静脈血管内皮細胞(human umbilical vein endothelial cell: hUVEC)の増殖で検討してこれを証明する、(2)hPDMCからhVEGF以外の増殖因子が産生されていないかを検討する、(3)虚血動物モデルを用い、hPDMCの細胞移植が血流を改善するか否かを検討する、の3つである。移植されたhPDMCは局所でhVEGFを産生した後、最終的には拒絶されると考えられるが、幹細胞の性質を有していれば血管内皮細胞に分化する可能性もある。これについても免疫組織化学で検討する予定である。hPDMCの細胞移植は虚血部位での局所作用性、安全性、低侵襲性の全て点から、これまで報告されているいずれの治療法よりもすぐれている。また胎盤からは大量に細胞が調整できるので、本研究の成果は、ヒトに対する副作用がなく有効で、かつ医療経済的効率の良い血管新生治療を確立させることにつながると期待される。 昨年度に研究目的の(1)と(3)を中心に研究を行ったが、本年度は研究目的の(2)を中心に検討を行った。その結果、胎盤細胞の培養上清はhVEGFは、ELISAで測定したhVEGFよりも高い活性を示した。このことは胎盤細胞が産生するhVEGFが生理活性を有すことだけでなく、hUVECを増殖させる他の因子も産生していることを示唆した。他の血管新生因子をELISAやRT-PCRで検討したところbFGFやangiopoietinなども産生していることが判明した。これらの結果から、hVEGFの細胞溶解液を親水軟膏に混ぜ、マウス皮膚創傷モデルに投与したところ、創傷治癒が促進されることが明らかとなった。これらの結果より、培養胎盤細胞の用途として皮膚外用剤の可能性が示唆された。
|