研究課題/領域番号 |
16659309
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
吉川 和男 国立精神・神経センター, 精神保健研究所司法精神医学研究部, 部長 (00302894)
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研究分担者 |
岡田 幸之 国立精神・神経センター, 室長 (40282769)
松本 俊彦 国立精神・神経センター, 室長 (40326054)
菊池 安希子 国立精神・神経センター, 室長 (60392445)
野口 博文 国立精神・神経センター, 研究員 (80392447)
柑本 美和 国立精神・神経センター, 研究員 (30365689)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 司法精神医学 / 触法精神障害者 / 心神喪失 / 医療観察法 |
研究概要 |
本研究の目的は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の退院と社会復帰を促進するための複合的要因を明らかにすることである。このため、医療観察法制度が施行された平成17年7月より全国の指定医療機関を中心に人口統計学的変数や精神症状に関するデータ収集を行ってきた。しかし、1年半あまりでは退院者が十分発生していないことから、統計的な検証には不十分であった。このため、解析の対象者を1980年の1年間に心神喪失等を理由に不起訴処分を受け、精神病院に入院し、その後、退院となった489例を1991年末まで追跡した者とし、この間に、暴力的な犯罪で逮捕された者の要因について分析を行った。この結果489例中52例(10%)が暴力的な犯罪(殺人、傷害致死、傷害、強盗、強姦および強制わいせつ、暴行)で逮捕された。再犯に関わる種々の変数をコックス回帰分析によって解析したところ、静的変数である性質的要因と歴史的要因では45歳以上の年齢は保護的要因(相対危険率0.38)として働き、教育歴の低さ、指標犯罪が暴力犯罪(2.42)、暴力犯罪歴(2.54)はいずれもリスク要因であった(いずれも統計的に有意)。動的変数である状況要因、臨床要因では、住居不定(2.64)、6ヶ月未満の入院(2.64)、物質関連障害の診断(5.19)がいずれも統計的に有意なリスク要因となっていることが判明した。以上より、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の社会復帰を阻害する要因としては、年齢や過去の犯罪歴等の静的変数のみならず、介入によって変化可能な動的変数が重要であり、特に、アルコールや薬物などの物質関連障害に対する地域での対策が急務である。また、退院後の住居を確保したり、就労につけるような社会的支援も暴力犯罪の再発予防には有効であることが示唆された。
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