研究課題/領域番号 |
16659365
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本村 昇 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40332580)
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研究分担者 |
小野 稔 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40270871)
高本 眞一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60137833)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 臍帯血 / 再生医療 / 心筋梗塞 / 幹細胞 / 細胞治療 |
研究概要 |
研究の背景:臍帯血には多くの未熟・幼若細胞が含まれることが知られている。我々は、ヒト臍帯血のCD34陽性細胞を心筋梗塞モデルのラットの心臓に筋注することで心機能改善効果が得られるかどうかを検討した。 方法:一人由来の臍帯血からCD34陽性細胞を分離。実験にはウイスターラットを用い、免疫抑制としてFK506の腹腔内注射を行った。冠動脈左前下行枝を結紮して心筋梗塞を作成。30分後に2x10^5個のCD34陽性細胞を含む細胞浮遊液を虚血領域へ注入。心エコーは術前、および4週間後、コンダクタンスカテーテルによる心機能評価は4週間後のエコー施行後に行った。凍結切片をヒトCD34,CD45,PECAM-1に対する抗体を用いて免疫染色し、臍帯血由来細胞の存在を確認。ラットCD31に対する抗体による免疫染色により、心筋虚血領域の毛細血管密度の測定を行った。 結果:左室駆出率は細胞注入群で有意に高く(31±2%vs24±2%,Pく0.05)心拡大も抑制されていた(7.3±0.3_mm vs8.5±0.4_mm,Pく0.05)。また、細胞注入群のEmaxは有意に高かった(778±36mmHg/ml vs610±20mmHg/ml,P<0.01)。組織学的検査では、虚血領域において有意に細胞注入群の方が毛細血管密度が高かった。また免疫染色では、臍帯血由来細胞が確認され、一部は血管組織にとりこまれていた。ただし、このうち血管に取り込まれていると考えられるものは約1%であった。 結語:我々は臍帯血由来のCD34陽性細胞移植によって心筋梗塞後の血管新生の増強と心機能の回復が認められることを示した。臍帯血由来CD34陽性細胞は血管内皮前駆細胞というよりはむしろ造血幹細胞として働き血管増殖因子等を放出することで血管増生に寄与すると示唆された。これらの結果から、臍帯血CD34陽性細胞による細胞治療は、心筋梗塞に対して有用である可能性があると考えられた。
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