研究概要 |
中枢神経系細胞へのガンマナイフ照射の影響を追求し、神経、特に脊髄損傷における神経再生を促進させる可能性を追求してきた。研究の進展は(1)小動物への安定したガンマナイフ照射の確立。MRIを用いた照射を行なうための特殊な素材でつくられたラット用脳固定装置の使用と、MRIによる画像を使った照射位置決定方法の確立(Ref.1&2)。(2)片側線条体へのガンマナイフ照射後のDNA microarray解析法による照射側と対側の比較により、dopamine receptor (D2),adenosine receptor (A2)の発現量の増加が診られ、この変化に伴う行動の変化も観察された。全ての受容体がガンマナイフの影響を一様に受ける訳ではないことが確認された。(3)apopotosisに関する因子は、ガンマナイフ照射後2週間では変化が無い事が確認された。(4)体性神経損傷によるアロディニアにガンマナイフを照射すると、行動上のアロディニアからの回復が促進されることが観察された。ガンマナイフ照射が誘発する脊髄におけるmicroglia活性、BDNFの変化を検討中である。(5)さらに、中枢神経系へ照射したガンマナイフは、サイトカイン系、Tumor necrotic factor、インターロイキンの発現量を減少させることが、microarray解析により示唆された。以上の得られた知見より、脊髄損傷時の脊髄再生に、ガンマナイフが炎症性の反応を抑制し、神経伝達物質受容体のup-regulationを促進することで、関与する可能性を提案した。 Ref.1:Tokumaru O, Kouyama N, Kawakami Y.et al.J Neurosurg.104:42-48,2005 Ref.2:Tokumaru O, Kouyama N, Kawakami Y.Stero.Func.Neurosurg.85:135-143,2007
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