研究課題/領域番号 |
16659416
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
福井 尚志 独立行政法人国立病院機構相模原病院, 臨床研究センター, 研究部長 (10251258)
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研究分担者 |
鈴木 隆二 独立行政法人国立病院機構相模原病院, 臨床研究センター, 研究部長 (70373470)
越智 隆弘 独立行政法人国立病院機構相模原病院, 臨床研究センター, 病院長 (80112035)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 変形性関節症 / 軟骨細胞 / 細胞外基質 / Sox9 / II型コラーゲン / アグリカン / アデノウイルス / electroporation |
研究概要 |
本研究に先立って、変形性関節症における遺伝子発現をレーザー・マイクロダイセクションと定量的PCRにより詳細に調べたところ、従来の報告と合致して軟骨変性部表層において軟骨基質の成分であるII型コラーゲン、アグリカンの発現が低下していることが確認された。ついで本研究において病変部軟骨細胞への導入を予定したSox9の発現を調べたところ、この発現は予想に反して軟骨変性部でも低下しておらず、この部位での軟骨基質の発現減少はSox9の発現レベルと連動せずに生じていることが明らかとなった。この一見矛盾する現象が生じる理由として(1)Sox5,Sox6などSox9と協調的に働く分子の発現の変化、(2)Sox9の細胞内局在の変化、(3)Sox9以外の系によるマトリクス分子発現の転写レベルでの抑制、などの可能性が考えられる。この結果から今回の研究で予定していたSox9の導入によるOAの治療の試みは合理性に乏しいと考えられたため、研究の主眼を軟骨病変の研究において必須かつ必要な技術である軟骨基質中の軟骨細胞に対する遺伝子導入法の開発に切り替えることとした。 この実験については、当初器官培養により維持された軟骨片の内部の軟骨細胞に対する遺伝子導入をアデノウイルスベクターを用いて試みた。結果としてこの方法では培養軟骨片のごく表層の細胞においてわずかな遺伝子の導入が観察されただけで、軟骨基質に包埋された細胞にはこの方法では導入が困難であると考えられた。ついでelectroporation法を試みた。最近Amaxa社から発売されたNucleofectorRは一次培養軟骨細胞に対しては非常に効率よく遺伝子を導入することが可能であり、我々自身も実際にこれを確認している。この方法を用いて基質内の軟骨細胞に対してGFP発現ベクターの導入を種々の条件下に試みたが、結果として成功しなかった。この一因はプラスミドが比較的分子量の大きな分子であり、物理的に軟骨基質内に浸透しにくいこと、さらに軟骨基質が多量のプロテオグリカンを含んで負に帯電しており、プラスミドの進入を電気的にも阻害することにあると考えられた。引き続いて現在も皮膚などにおいてマトリクス内の線維芽細胞に対して遺伝子導入が可能と報告されているparticle bombardment (gene gun)の方法を試みている。
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