研究概要 |
1.smac/DIABLO mimicペプチドおよびコントロールペプチドの作成. Mimicペプチドはアミノ酸7個(AVPIAQK)のモチーフのものを使用し,コントロールペプチドはMVPIAQK(最初のアラニンをメチオニンに置換し,機能のないもの)とした. 2.ペプチド導入試薬を用いた細胞内導入. 前年度の研究から得られた結果から,高XIAP発現株である,ACHN、Caki1とペプチド導入試薬Chariot及びBioporterを用いて導入効率およびXIAP発現への影響を検討した.この結果,導入試薬自体が相当程度細胞毒性を有し,その影響がXIAP発現に影響していることがコントロールペプチドの実験結果から明らかになった. 3.Atenopedia motifをtagとしたペプチドの作成と細胞内導入. そこで,非特異的な細胞毒性を示さないAtenopedia motifをtagとしたペプチド(AVPIAQKPRQIKIWFQNRRMKWKK)を用いて検討したところ,Caki1において生細胞を減らすことなく,XIAPの機能抑制が可能となった. 4.smac/DIABLO mimicペプチドの導入細胞におけるアポトーシス刺激に対する感受性の検討. さらに,アポトーシス刺激としてCisplatinを用い,このsmac/DIABLO mimicペプチドとともに作用させたところ,コントロールと比較して高いアポトーシス誘導能が示された. 5.結論. 以上より,ペプチドによる抗アポトーシス分子の制御と,各種アポトーシス誘導刺激に対する感受性の向上は可能であると考えられる.しかし,ペプチドの腫瘍細胞への導入は可能であるが,安定した導入効率を得ることは本研究で検討した種々の方法では必ずしも可能ではなく,更なる検討が必要であると考えられた.
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