研究課題/領域番号 |
16659448
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (20235493)
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研究分担者 |
小西 郁生 信州大学, 医学部, 教授 (90192062)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 子宮内膜 / 子宮内膜癌 / ミスマッチ修復(mismatch repair, MMR) / hMLH1 / hMSH2 / エストロゲン |
研究概要 |
正常子宮内膜や子宮内膜癌はエストロゲン受容体(ER)を有し、エストロゲン(E)によって増殖が刺激されることから、Eが癌化に有利であると考えられてきたが、実際の内膜癌患者の血清Eは低値であることが多く、内膜癌の発生におけるEの意義は不明であった。最近、内膜癌発生の初期には特にミスマッチ修復(MMR)の異常の関与が指摘されている。そこで今回我々はMMR関連因子で中心的な役割をはたすと言われているhMLH1とhMSH2の発現のEとの相関、さらに、内膜組織におけるMMR機能のEによる変化をin vitro MMRアッセイによって評価した。まず、正常女性の血中E値とhMLH1/hMSH2の免疫染色による発現を検討したところ、両者には正の相関が観察された。次に培養子宮内膜腺上皮細胞とER陽性子宮内膜癌細胞IshikawaにおけるhMLH1/hMSH2の発現のEによる影響を検討したところ、両者ともE依存性に発現が増加した。さらに、このE添加したこれらの細胞の蛋白を使用し、in vitro MMR活性を検討したところ、両細胞とも、Eの濃度に相関してMMR活性が増加した。これらの結果は、高E環境では正常子宮内膜や内膜癌細胞は活発に増殖をするものの、同時にMMR活性が上昇することにより増殖にともなうDNAのreplication errorを活発に修復し、癌の発生をむしろ抑制している可能性を示した。またこの結果は実際の癌患者の血中E2濃度が低値であることと矛盾しないと考えられた。以上より、我々は、従来までの見解とは異なり、エストロゲンはむしろ癌発生に対して防御的に作用している可能性を世界で初めて示した。
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