研究課題
萌芽研究
我々が口腔癌のバイオマーカーとしてこれまで注目し研究を行ってきたHigh Mobility Group I(Y)[HMGI(Y)]は染色質の構造維持や様々な遺伝子の転写を制御している非ヒストンDNA結合タンパクである。これまでヒト大腸組織において、HMGI(Y)過剰発現が癌特異的に認められることは報告済みであるが、本年度我々は、マウスにおいて実験的に作製した舌癌モデルマウスの病巣周囲においてもHMGI(Y)が過剰発現していることを確認し、さらに周囲の筋線維の特性を検索した。この結果、口腔癌予後予測因子としてHMGI(Y)発現レベルの有用性が実証されてきたと考えている。今後このバイオマーカーによる癌病巣の予防的切除、術後の再発などが予測できるようになると思われた。次に筋組織は周囲の環境によってその特性を大きく変えることから、癌ではなくても正常な機能は発揮できていないことも考えられるが、これまでの癌研究においてバイオマーカーより外側の正常組織にまで視点を広げ、詳細に本来の組織との分子機構の違いを検討したものはみられない。そこで、正常筋組織の分子機構を知らなくてはならないが、今年度も昨年度同様、特に頭部における正常筋組織の成長過程における筋線維特性分子機構の変化について研究、論文作成を行った。この3年間の研究で、筋は周囲の機能変化をシグナルとして受け取り、筋収縮蛋白の組成を変化させていることが様々な面から明らかとなった。今後は口腔癌周囲組織が正常な筋線維特性を獲得していく詳細な分子機構について解明していきたいと考えている。
すべて 2006 2005
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