研究概要 |
前年度(16年度)には,パノラマX線写真の指標と心血管障害のリスク因子(総コレステロール,低密度コレステロール,高感度CRP及び酸化LDL)が関係することを解明したが,17年度はこのパノラマの指標を,自動的に抽出する手法の確立を行った.すなわち,パノラマX線写真上の下顎骨下縁皮質骨厚みを,オトガイ孔を手動設定するだけで,自動的に測定するシステムを新たに開発した.この自動システムは,従来の専門医による手動測定に比して,優れた測定能力を有していた.この知見に関する論文は,国際骨粗鬆症財団の機関誌であるOsteoporosis Internationalに受理された. また,パノラマX線写真における総頸動脈の石灰化所見が,脳梗塞や心筋梗塞とどのような関係にあるのかあるいは,血管の石灰化能力を実際に反映しているのか否かについて検討を行った.結果,(1)総頸動脈の石灰化所見は,日本人における脳梗塞や心筋梗塞の発症と関連を有する可能性があること,及び(2)総頸動脈の石灰化所見を有する女性では,骨形成マーカーが有意に高値を示す(日本歯科骨粗鬆症研究会研究奨励賞受賞)ことが判明した.今後は,これらの知見を基にして,総頸動脈の石灰化所見を自動的に抽出するシステムの構築に取りかかる予定である.
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