研究概要 |
本研究は,タンパク質導入法を用いて,BMP,SHH,FGF,IGF,TGF-b,CTGFなど骨形成に関連する成長因子を自己骨髄由来間葉系幹細胞内に導入し,次にそれらをキャリアとともに抜歯窩や実験的な歯槽骨欠損部位に移植することで歯槽骨の再生を試みようとするものである。 昨年度は,FITCとCTGF,そのファミリーであるcyr61,novなどの骨形成関連遺伝子のクローニングを行った。今年度はBMP-2,-4,SHH,FGF-2,galectin-1,-3,-9,sod-1など骨形成に関連する成長因子をコードするcDNAのクローニングを行った。現在,これらの遺伝子にPTD配列を含んだ遺伝子を増幅しPETベクターにクローニングを行っている。 in vivo実験においては,昨年度行った抜歯窩モデルが実験群とコントロール群で差が認められなかったことから今年度は大きな骨欠損モデルで試みた。はじめに生後8週齢のWistar系雄性ラット頭蓋骨全層骨欠損モデル(critical size defect)を作製した。これはラット頭蓋骨に直径6mmの全層骨欠損を作成したもので,この欠損部にBMP-2,FGF-2を含浸させた直径6mmのゼラチンハイドロゲルシート,I型コラーゲンシートを移植したところ,術後4週でゼラチンハイドロゲルシートもしくはI型コラーゲンシートとBMP-2を用いたものは,BMP-2単体やbFGF単体と比較して著名な骨再生が認められた。しかし,再生部位を歯槽骨に近づけるべく3.0kg雄性日本白色ウサギ下顎骨骨欠損モデル(defect size : 6mm)を用いた場合,I型コラーゲンキャリアとbFGFを用いても術後4週でコントロールとの著名な差を見いだすことができなかった。 今後は,PTD配列を含んだ骨形成関連遺伝子とゼラチンハイドロゲルやI型コラーゲンキャリア,さらに骨髄由来間葉系幹細胞を組み合わせた実験系を構築する予定である。
|