研究概要 |
本研究は,助産師が産婦のケア過程で内診以外の非侵襲的観察で分娩進行を判断していると考えられる現象から,分娩進行状態の判断に有効と考えられる非侵襲的観察項目を明らかにすることである. 1.データ収集期間:2007年1月 2.研究対象:分娩を取り扱う施設に勤務する臨床経験3年目以上の助産師 3.方法:前年度作成した調査票(準備期6項目,進行期83項目,極期130項目)の結果から,経験年数および分娩介助件数によるクロス集計で,「その通り」「大体そのとおり」と回答した割合が70%以上であった項目で今年度の調査票を作成した.調査項目は,準備期4項目,進行期30項目,極期77項目,分娩進行を促進させるケア内容15項目で合計126項目で構成した.回答は,助産師個々の臨床経験に基づき,8割以上該当するものは「その通り」,6割以上8割未満「だいたいその通り」,5割前後「どちらでもない」,2割以上4割未満「あまりそう思わない」,2割未満「そう思わない」,該当しない「わからない」の6段階とした.調査票配布の手続きとして,分娩を取り扱う病院・診療所150施設の看護部長あてに,調査協力の可否および調査対象助産師数を調査した.調査協力可能と回答のあった病院・診療所82施設1,000票の調査票を看護部経由で配布を依頼し,回収は個別に郵送で回収した. 4.倫理的配慮:研究の趣旨を文書にて説明し,調査票は無記名とした.なお,無記名による調査のため,調査票の返信をもって調査協力に承諾が得られたものとする旨を文書に記載した. 5.分析:統計ソフトSPSS Ver.13を用いて記述統計処理を行った. 6.結果 (1)調査票は1000名に配布し,634名から回収(回収率63.4%) (2)対象者の平均年齢は,36.23±8.57歳(24〜65歳).助産師経験年数は,3〜5年目156名(25.0%),6〜10年目186名(29.9%),11年目以上281名(45.1%),平均11.98±7.87年(3〜35年).分娩介助件数は,平均399.85±394.42件(15〜3000件)であった.勤務場所は,総合病院に勤務する助産師が最も多く433名(68.3%)で,職位はスタッフ490名(77.3%)であった. (3)「その通り」「大体そのとおり」と回答した割合が80%以上であった項目は,準備期1項目,進行期4項目,極期40項目,合計45項目(40.5%)であった.また90%以上であった項目は,11項目で極期のみであった.「いきみたい感じが強くなる」「経産婦ではいきみたいと言ったら分娩が近い」92.9%[発作時に自然に力が入ってしまう]92.6%,「便をしたいと感じがすると訴える(肛門圧迫感)」92.0%,「お尻への圧迫感が強くなる」91.5%,「粘稠性の血性分泌物が増える」「呼吸時の息遣いが変わってくる」「経産婦ではいきみが強くなってきたと言ったら分娩が近い」90.9%,「苦しい時には言葉や返事を返せなくなる」90.7%,「顔をしかめるようになる」「いきみたいというようになる」90.2%であった.
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