配分額 *注記 |
30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)
2006年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2005年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2004年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
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研究概要 |
(+)-メリラクトンAの非対称化反応を利用した短段階不斉全合成:我々は、前年度までに神経突起伸展作用を有する(-)-メリラクトンA[(-)-1]の不斉全合成に成功した(32工程)。その際、キラル化合物を出発原料として絶対配置を確実に決定し、天然物が(-)-1に対応することを初めて明らかにした。本年度は、メソ対称化合物の非対称化を鍵反応とした、(+)-1の新短段階全合成を実現し、総工程数を劇的に減らした(23工程)。まず、ジメチル無水マレイン酸から対称性を利用した二官能基同時変換により、メソ対称8員環ジケトンを得た。ジケトンに対して様々なキラル塩基を用い、非対称化反応を経るビシクロ[3.3.0]オクタン骨格の構築を試みた。その結果、(S)-1-フェニルエチルアミド誘導体を作用させると、65%eeの望む炭素骨格が高収率で得られた(再結晶後99%ee)。本反応は、キラル塩基の絶対配置により、4つの不斉点(C4,C5,C6,C9)の絶対配置が制御される斬新なものである。得られた骨格から、非天然体である(+)-1の不斉全合成を達成した。 メリラクトンA両鏡像体および単純化メリラクトンの神経突起進展作用:神経突起進展作用評価を目的とし、メリラクトンAの構造を単純化した誘導体(2)を設計・合成した。(-)-1,(+)-1および2を、それぞれ培養神経細胞(PC12,Neuro2A,ラット胎児大脳皮質由来の初代神経培養系)に添加し、活性を評価した。その結果、PC12の神経突起進展は観測されなかったが、(-)-1および(+)-1の双方がNeuro 2A,初代神経培養系に同等の活性を示した。また、2はNeuro 2Aにのみ突起進展を引き起こした。これらは、メリラクトンAの活性発現に必要な構造要件と突起進展活性の発現機構の解明のための重要研究成果である。
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