研究課題
若手研究(A)
ラジカルカチオンやジカチオンなど、正孔を注入した状態を高度に安定化させ、分子間の相互作用を立体的に制御できる分子導線のモデルとして、申請者が独自に開発してきた構造修飾法であるビシクロ[2.2.2]オクテン(以下BCOと略記)骨格の縮環を適用したオリゴチオフェンを設計・合成した。このうち、平成16年には完全縮環体について、初めての系統的なX線結晶構造解析に成功し、BCO縮環による分子導線の"被覆"効果により、分子間相互作用を阻害し、孤立した系において正孔注入状態に伴うキノイド構造への変化と電荷注入量との関係を明らかにし、報告した。一方、平成17年には、中央のみ分子間相互作用が可能な系として両末端をBCOでキャップしたターチオフェンを合成し、そのラジカルカチオン塩のX線結晶構造解析を行ったところ、予想される陽電荷の反発の存在にも関わらず、大きく折れ曲がることにより中央で接触したダイマー構造を形成することを明らかにした。このようなラジカルカチオンのπダイマーは、スピン問の強い相互作用により一重項になることが知られているが、BCO縮環による安定化を反映して400Kまで加熱しても安定に存在でき、その結果熱励起三重項へのESRシグナルを初めて観測することができ、平成18年に論文の報告を行った。また、これらの結果を含む総説を2編執筆した。一方、チオフェン-フラン交互オリゴマーがオリゴチオフェンに比べて、より密にパッキングすることを平成16年に見出し報告した。平成17年には、この結果を電界効果トランジスター用有機半導体に応用し、オリゴチオフェンに匹敵する性能を示すことを明らかにし、18年に報告した。また、チオフェンーピロール系についても、同様な有機半導体特性を示すことを明らかにした。
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