研究課題
若手研究(A)
18年度は、光近接場プロープの駆動系を立ち上げた。本装置は試料の傾きを垂直と水平のどち.らでもプローブがアプローチできるように設計した。そのため、一般に用いられているバネと渦電流ダンパーによる除振機構を搭載できず、高分解能像を取得するための条件だしが困難であった。そのため、申請段階では先鋭化した石英ファイバープローブを用いて励起光を照射する予定であったが、消耗品としてのプローブ部品が高価であったため、まずは操作方法の習得も兼ねてSTM(走査トンネル顕微鏡)として実験装置を立ち上げた。これに伴い、光電効果の励起光も、光ファイバープローブ先端から照射する方式を改め、金属針先端に立つ近接場光を用いる方式を考案した。光近接場相互作用による光電効果に関しては確立した理論が無いため、この効果発生の検証から始めることとした。STM像を取得しながら、針先端と試料を含む広い領域(φ100μm程度)にブルー(およびグリーン)レーザー項を照射し、針先端に立つ近接場光による光電効果の観測を試みた。光電子の検出にはシンチレータ(P30)と光電子増倍管を用いて自作した電子検出器を用いた。研究期間終了の現在、光電子の検出には至らず、今後解決すべきいくつかの解決すべき課題を得た。(1)光近接場による光電効果は可能か?(2)発生した光電子を針と試料との狭い空隙から外に引き出すための電子光学系の改良。今後、先端だけでなく付け根の方まで細いプローブの作製方法を考案して、浅い順位の電子のみを光電子として取り出し、スピン計測できるところまで進めていく予定である。