配分額 *注記 |
23,400千円 (直接経費: 18,000千円、間接経費: 5,400千円)
2006年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2005年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2004年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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研究概要 |
強磁性半導体は高いスピン分極率や,電界効果磁性制御といった通常の強磁性金属では持ち得ない機能を有していることから,スピンバイスへの応用上極めて有用な機能材料である,強磁性半導体はこれまで化合物半導体を中心に研究が進められてきたが,集積エレクトロニクスの中心であるシリコンテクノロジーに整合するものは本研究課題の開始当時には,ほとんど報告されていなかった.本研究課題では,SiやGeといったIV族半導体をホスト材料として強磁性半導体を実現することを目標とした。 Siをホスト材料とする強磁性半導体の実現に向けて,Si中にMn,Cr,Feをドープした場合のエピタキシャル成長の過程(特に基板温度と遷移金属の濃度の関係)を詳細に調べ,この磁性について調べた.Siの場合では,ドープした遷移金属の量によっては,マクロには強磁性を示すものもあった.また,同様にいくつかの他の研究機関からMnドープSiが強磁性を示すことが報告されたが,これらの報告ではバンド構造についての評価はなく,これらが真の強磁性半導体として振舞うかは不明であった.本研究課題では,強磁性発現の起源を明らかにするため,磁気円二色性によるバンド構造の評価を行った.この詳細な観測から,Mn, Cr, Feのどれを用いても,これまでのところバンド構造のスピン分裂によって磁性を発現させているものは得られていないと結論した. 一方,Geついては,Mnをドープすることによって,容易に強磁性を示す試料が得られた.詳細な構造評価と磁気円二色性を使った電子構造の評価から,Ge_<1-x>Mn_xの膜構造と磁性は,成長速度に強く依存して大きく変化することがわかった.成長速度が遅い場合,GeにMnをドープしてもMnを含まないGeのマトリックスと高濃度にMnを含むアモルファスのGe_<1-y>Mn_yに相分離することが明らかになった.このアモルファスGe_<1-y>Mn_yは強磁性半導体として振舞うことを明らかにした.成長速度を増加させると,アモルファス相の析出は抑えられ,Mnの濃度の濃いナノスケールのGe_<1-y>Mn_y柱状構造と,Mn濃度の低いGe_<1-z>Mn_zマトリックスに分離するが,膜全体はダイヤモンド構造を維持していると考えられる構造となった.このナノ柱状構造は非常に高い強磁性転移温度を発現できる可能性が理論的に指摘されている構造である.磁気円二色性の評価からは,強磁性析出物によるものは確認されなかった.強磁性転移温度は150K程度であったが,今後キャリア密度の制御等によって,非常に高いキュリー温度が得られる可能性を見出した.また,GeにFeをドープした場合では,バンドのスピン分裂による強磁性が発現し,容易に強磁性半導体が実現できることを明らかにした.
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