研究課題
若手研究(A)
本研究は、温度ストレスに対する生理反応、特に末梢部血管運動反応から、体温調節機能における多型性および潜在性について検討することを目的に、主に全身寒冷曝露実験、局所寒冷暴露実験、短期局所寒冷馴化実験、最大酸素摂取量測定、血管内皮機能検査を実施した。全身寒冷曝露実験では、成人男性10名において90分間の10℃寒冷気曝露中の皮膚温、直腸温、皮膚血流量、代謝量、末梢血管幅等の測定を実施し、これらと最大酸素摂取量の関係を検討した。その結果手指部の血管収縮反応と最大酸素摂取量との問に相関がみられたことから、末梢部に着目し局所寒冷曝露実験を実施した。局所寒冷暴露実験では、成人男性39名を対象に30分間0℃水に指を浸漬中の指の皮膚温、皮膚血流量を測定し、これらの変化から局所耐寒性の指標である寒冷誘発血管拡張反応(CIVD)を評価した。このCIVDと同時期に測定した最大酸素摂取量・血管内皮機能との関係を見たところ、3者間に有意な相関関係が得られた。この結果は、CIVDは日常の運動習慣および運動によって向上する血管内皮機能と関連することを示唆した。本実験での血管内皮機能検査は血管内皮細胞由来の拡張物質(一酸化窒素NO)よる血管拡張反応を捉えたものである事から、CIVDには血管内皮由来のNOが関与している事も同時に示した。この血管内皮機能は耐寒性の多型性に係わる個人差や耐寒性の潜在機能を評価する上で非常に有用と考えられた。また、成人男性10名を対象に短期局所寒冷馴化実験(0℃の氷水に30分間手部を浸漬、2回/日、4日間連続)を実施し、その前後のCIVDを比較した。その結果、短期局所寒冷馴化はCIVDに影響を及ぼさなかった。CIVDに血管内皮機能が関与すると考えると短期間の局所寒冷負荷によるCIVDからみた耐寒性向上は期待できない。短期局所寒冷馴化実験の結果はこの事を支持するものであった。
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