研究課題
若手研究(A)
我々は以前に、配偶体型自家不和合性の花粉S遺伝子を初めて同定し、SFBと命名した。SFBはバラ科・サクラ亜科・サクラ属に属するアーモンド、オウトウ、ウメといっていくつかの植物種から同定されているが、ナシ・リンゴといったナシ亜科植物など他の属からは見出されていない。様々な分類群の種から花粉S遺伝子を同定し、自家不和合性分子機構の多様性を解明する目的で、ナシ亜科に属するリンゴのS遺伝子座の解析を行った。リンゴのBACライブラリーを用い、S-RNase遺伝子を基点とした染色体歩行を行って構築したS9ハプロタイプ領域約300kbをカバーするコンティグについて、BACクローンのショットガンシーケンスにより、その全塩基配列を決定した。この解析により、互いに相同性の高い新規のF-Box遺伝子を2つ見出し、SFBB(S locus F-box brothers)と命名した。SFBB遺伝子とサクラ属のSFBとの配列相同性は20〜30%であった。発現様式を解析したところ、花粉特異的に発現していることが確認された。また、この遺伝子は同一Sハプロタイプに2つあるいはそれ以上存在する事が見出された。相同な遺伝子はリンゴと同様ナシ亜科に属するナシからも単離され、やはりそれらも花粉特異的発様式式を示し、単一Sハプロタイプから複数の遺伝子が単離された。花粉特異的発現は花粉S遺伝子の特徴と一致するが、花粉S遺伝子は通常単一ハプロタイプに1コピーであるため、SFBB遺伝子が花粉S遺伝子であるかどうかは即断できず、更に解析を進める必要があると考えられた(Sassa et al.(2007) Genetics)。
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すべて 雑誌論文 (6件)
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