研究課題
若手研究(A)
我々はこれまでに、超音波の照射による新しい卵子活性化法を開発し、同法を体細胞核移植に応用してクローンミニブタを作出することに成功した。しかし、得られたミニブタは生後41日で死亡したので、その正常性には疑問が残った。そこで本年度は、再度クローンミニブタの作出を試みるとともに、作出効率に影響を及ぼすと予想されるレシピエント卵子の除核法を最適化した。新たに3匹のクラウン系ミニブタ胎子から線維芽細胞を採取し、除核卵子に移植してクローン胚を作製した。これらを超音波活性化後に3頭のクラウン系ミニブタ仮親に移植した結果、1頭の産子が得られた。マイクロサテライトDNAマーカーを用いて解析した結果、この産子が核移植に用いた細胞の1つと同一の遺伝子型を持つクローン動物であることが確認された。現在このクローンミニブタは生後5ヶ月であるが、順調に生育しており、正常性に問題はないと考えられる。無処理のブタ卵子核を顕微鏡下で観察することは困難であるので、除核においてはその位置を把握する方法の開発が重要となる。従来は、核を染色した後に紫外線を照射してその位置を確認する方法が広く用いられてきたが、最近になって、卵子をディメコルシンおよびスクロースで処理すると核を含む細胞質の小さな突出が形成され、それを除去することによって容易に除核し得ることが報告された。そこで、ブタ卵子の核突出に及ぼすこれらの成分の影響について検討した結果、0.2μg/mlのディメコルシンで30分間処理することにより、効率的に核突出を誘起し得ることが示された。また、スクロースはブタ卵子の核突出に影響を及ぼさないことが明らかになった。
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Molecular Reproduction and Development (印刷中)
BIO九州 180
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