研究課題
若手研究(A)
心臓由来の心筋前駆細胞の細胞機能解析として、平成16年度に引き続き、平成17年度一年間で以下の2つの課題を明らかにしてきました。1)心臓由来のSca-1陽性細胞のクローン化とその多能性を明らかにすること。平成16年度の報告のように、申請者らは心筋前駆細胞である心臓由来のSca-1陽性細胞を単一細胞より大量増幅させ、そのクローン化に成功した。各クローンはそれぞれ心筋細胞に分化できるポテンシャルが異なり、心筋細胞以外では血管平滑筋、内皮、グリア、脂肪、上皮細胞への多能性分化能についても確認しえた。2)マウス生体内でのSca-1遺伝子の役割をSca-1欠損マウスへ心筋梗塞作成することで明らかにする。平成16年度内にSca-1ノックダウンマウスの作成に成功した。ある一定の数まで動物を繁殖させた後、マウスの表現型の解析を開始した。Sca-1ノックダウンマウスは生後異常なく成長し、心臓にも異常が認められなかった。しかしながら、Sca-1ノックダウンマウスより精製純化した心筋幹細胞コロニーは増幅能を著しく傷害され、野生型の心筋幹細胞と比べ、長期培養は不可能であった。また、Sca-1ノックダウンマウス由来の心筋幹細胞は高い増幅能を持った細胞に特徴的なテロメラーゼ活性も著しく低下し、細胞周期調節因子であるp53の発現上昇を認めた。興味深いことに、Sca-1ノックダウンした心筋幹細胞をドナーとして用い、虚血心に細胞した場合、野生型の細胞移植と比べ、心筋細胞の再生能及び心機能改善効果は著しく障害を受けた。また、Sca-1ノックダウンマウスに心筋梗塞を作成すると、梗塞巣が繊維化領域の拡大により、野生型と比べ増加し、1ヶ月目までの虚血心マウスの生存は有意に低下した。これらのことより、Sca-1は心筋幹細胞を認識するだけでなく、心臓内心筋幹細胞の自己増幅能を制御する重要な因子であることが示唆された。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (9件) 産業財産権 (3件)
Pharma Medica 23(10)
ページ: 49-52
心臓 37(12)
ページ: 999-1005
血管 28(3)
ページ: 101-114
臨床病理 53(1)
ページ: 61-69
10018039777
Heart View 9(2)
ページ: 141-147
循環器科 56(4)
ページ: 373-380
Angiology Frontier 3(3)
ページ: 55-61
Ann N Y Acad Sci. 1015
ページ: 182-189
分子心血管病 5(3)
ページ: 239-246