配分額 *注記 |
23,530千円 (直接経費: 18,100千円、間接経費: 5,430千円)
2006年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2005年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2004年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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研究概要 |
生命の維持に酸素は必須であり,細胞には酸素欠乏(低酸素状態)を感知し,酸素供給の維持を厳密にコントロールするシステムが備わっている。その中心的役割を果たしていると考えられるhyboxia-inducible factor-1(HIF-1)は低酸素刺激に応答する転写因子で,赤血球生成因子,血管新生因子,解糖系酵素や糖輸送に関する因子等,様々なストレス応答因子を転写制御していることが知られている。近年,その幅広い標的遺伝子群からみて,その機能変化が,がんを含む様々な疾病で重要な役割を果たしていることが予想されている。しかしながら,その転写制御機構の詳細,特に結合因子群(HIF-1蛋白複合体)に関する解析は進んでいないのが現状である。本研究では,HIF-1蛋白複合体解析を通して,HIF-1機能調節因子を見出し,将来的には分子標的治療へ応用展開することを目的としている。 これまでに,ビオチン標識3xHREオリゴを用いて,核抽出液からHIF-1複合体を精製するシステムの構築に成功し.様々な細胞株,様々な低酸素環境下における新規結合蛋白の探索を継続的に行っている。そうした中,DNA損傷応答に関わり,幾つかの転写因子の調整を行っていることが報告されているTip60がHIF-1転写活性を増強する可能性を見出した。Tip60は低酸素下におけるHIF-1の転写活性を,2つの活性化領域N-TADおよがC-TADを介して増強すること,HIF-1活性を抑制することが明らかとなっているpVHLと拮抗的に作用することが明らかとなった。さらに,網羅的遺伝子発現解析により,HIF-1シグナルの下流に多くのDNA修復遺伝子群が含まれ,低酸素下ではそれらの機能が抑制されている可能性も見出された。以上より,癌細胞では低酸素下におけるDNA修復機構が抑制されており,HIF-1機能の調節因子として同定されたTip60が同機構の抑制作用を増強している可能性が示された。
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