研究概要 |
本研究では,平成18年度の実施目的に挙げた, (1)機能協調型ネットワーク家電によるサービス記述方式 (2)サービス利用環境における制約の定式化 (3)環境適応型ソフトウェア基盤の構築と検証 という三項目の課題について,当初の予定通り,平成17年度までの成果を踏まえながら,各技術項目の評価・改善を行うとともに,実装した振舞い記述の実行解釈系を,家電をターゲットとした「ゆかりカーネル」と呼ぶ組込みシステム用ミドルウェアに適用・評価を行った. (1)では,機能協調型家電ネットワークサービスの典型的な利用パターンに基づき,機能間の通信とメディアの同期について,構造記述から振舞い記述のひな型を自動生成する支援ツールを作成し,生成されたひな型に基づく振舞い記述が「ゆかりカーネル」上で実際に動作することを確認した.一方,本年度は構造・振舞い間の汎用パターンの抽出とそれに基づく自動生成論理の構築に注力したため,支援ツールのグラフィカルエディタへの組込みは今後の課題として残されている. (2)については,主にホームネットワークで利用できる個人識別のための要素技術として,両足床反力の利用を念頭に「ゆかりカーネル」上のアプリケーションとして組込む際の環境制約についての検討を行い,一部を(1)で検討した機能間の通信とメディア同期のパターンとして反映した. (3)については,振舞い記述を構造的視点からメタモデル化し,その形式に中立的なモデルリポジトリを構築するための支援環境を実現した.これにより,開発者によって記述された個々のサービスモデルから検証データを自動生成するといった構造的な検証のための基盤を提供することができた.家電サービスにおいて一般的に望まれる性質・望まれない性質の一部については(1)で検討した機能問の通信とメディアの同期パターンに反映した.
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