研究概要 |
本年度は,VLANスイッチで構成される組織ネットワークにおいて,部署外から部署内へのデータリンク層レベルでの一時接続を実現するVLAN相互接続方式として,以下の各課題について研究開発を行った. 1 VLAN管理サーバおよび認証サーバの実装 前年度の設計を踏まえ,一時接続のためのVLAN-ID管理とVLANスイッチの自動設定を行うVLAN管理サーバと,部署外でユーザ認証を行う認証サーバの実装を行った.前者はPC上で動作するサーバプログラムとして新規作成し,後者は既存の認証サーバプログラムであるFreeRADIUSを拡張して,提案方式で使用する各サーバとの通信機能などを追加した. 2 システム全体の動作確認と性能評価 前述のサーバと前年度までに実装済みのVLAN-ID変換サーバに加え,VLANスイッチとユーザ端末を用いて実験ネットワークを構築し,動作確認実験と性能評価実験を実施した.動作確認実験として,ユーザ端末を部署外のVLANスイッチに接続すると,認証サーバによるユーザ認証後,VLAN管理サーバが一時接続のためのVLAN-IDを割り当ててVLANスイッチを設定すると共に,VLAN-ID変換サーバが部署外と部署内のVLAN-IDを変換することにより,ユーザ端末が所属部署のネットワークにデータリンク層レベルで接続され,これら一連の動作がすべて自動的に行われることを確認した.一方,性能評価実験については,VLAN-ID変換サーバ単体の性能評価は前年度に実施済みであるため,本年度は一時接続に要する時間を計測した.その結果,ユーザ認証の開始からVLANスイッチの設定とVLAN-IDの変換開始が完了するまでの平均時間は3.72秒であり,十分実用的であることを確認した.
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