研究概要 |
従来のグループ通信プロトコルの多くは,ネットワークの性能変化や障害といったサービス品質(QoS)の変化に関係なく,固定の方式で一定のグループ通信サービスをアプリケーションに提供している.このため,ネットワークが提供するQoSの動的変化に対して,最適なグループ通信方式をアプリケーションに提供することが困難である.本研究では,エージェント技術を用いて,通信ネットワークが提供するQoSが動的に変化する環境のもとで,アプリケーションの要求を満足するために必要かつ十分なグループ通信機能の実現方式を動的に選択し,柔軟に対応できる自律的なグループ通信プロトコルを提案する.平成16年度は,グループ通信プロトコルを設計する上で必要となる機能とその実現方式を明確にした.ついで,通信ネットワークが提供するQoSの動的変化に対応して,各種グループ通信機能の実現方式を柔軟に変更する「自律的なグループ通信プロトコル」のアーキテクチャを設計した.17年度は,ネットワークが提供するQoSとアプリケーションの要求の変化に対して,各グループ通信エージェントが最適な機能の実現方式を選択する場合に通信矛盾が起きない実現方式の組合せを明確にした.また,ネットワークが提供するQoSの変化に対して,各エージェントがグループ通信機能を変更するための方式を設計した.特に,各エージェントが,定期的に他のエージェントとネットワーク監視用のメッセージを送受信することでネットワークの状態を監視し,得られた情報(遅延時間,紛失率,帯域情報)を基に最適な紛失メッセージの再送信方式を選択する方式を提案し,通信プロトコルの動作確認と提案方式の評価を行った.
|