研究概要 |
1.通常音声とささやき声の音素毎の特徴を比較するために,単語および単音節データを用いたHMMによる音素セグメンテーションおよびラベリングの結果を調査した。波形と音素区間のおおよその対応は得られたものの,より正確な音素のセグメンテーションが課題となった。 2.ささやき声の母音(無声母音)の高さ(ピッチ)と音響的特徴との関係を調べるために,ピッチを変えて発声した無声5母音を音声資料として,第1,第2,第3フォルマント周波数,スペクトルの傾斜,およびスペクトルを単一ピーク形状で近似した際のピーク周波数を求めた。音声資料は,話者が純音にあわせて,各母音につき6ないし7段階にピッチを変えて発声したものである。5母音に共通して,ピッチの上昇と共に第2フォルマント周波数が上昇した。他の特徴については5母音に一貫する変化は見られなかったものの,ピッチの上昇と共に値が大きくなる傾向が観察された。無声母音のピッチを定量的に測定するために行った,PEST法による無声母音と純音とのピッチマッチング実験では安定した結果を得ることができなかったものの,無声母音同士のピッチの一対比較実験では,話者の意図したピッチの高低を,被験者も聴取することは確認された。 3.多量の音声データおよびその分析結果を効率的に管理・利用・提供するためのWeb-データベース連携システムの構築に関して,システムの外部公開に必要なセキュリティ対策を施した。セッションハイジャック防止のための暗号化・非暗号化通信切り替え時のセッションID更新機能や,URLを通じてユーザーが入力する値の安全性確認処理の一元化等である。また,プログラム全般のモジュール性を高めて保守を容易にする等の改良を施すとともに,サーバーから取得した音声データをクライアント側で分析し,直ちにサーバーに保存するコマンドラインツールを作成した。
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