研究概要 |
本研究では自律型エアロロボットが数十cm〜数mの超低空を正確かつ安定に飛行するための制御技術に関する研究開発を行うことを目的とした.超低空飛行の実施には地面の形状,傾斜を正確に測定するシステムが不可欠である.このためにエアロロボットに小型レーザスキャナを搭載し,センシング情報をGPS-INS複合航法システムと複合することにより,地面の3次元形状測定システムの構築を行った.また,半導体ジャイロ・加速度計・磁気方位センサ・単独測位用GPSからなるGPS-INS複合航法システムを開発し,従来の複合航法システムと比較を行った結果,測定精度はほぼ同じ精度であるが小型・軽量化・低コスト化が可能であることを示した.さらに,飛行制御については環境の変化を認識し動的に補正を行う適応機構に関する研究を実施した.特に,複数の適応モジュールからなる飛行制御系では,学習過程の安定性を考慮した強化学習アルゴリズムを提案し,飛行制御実験によりその有効性を確認した.さらに,知的な非線形ロバスト制御としてニューラルネットワークを用いる制御について研究を実施し,風を確率的な不確かさと見なして学習したニューラルネットワークによる飛行制御実験を行い,従来の線形飛行制御系に比べて飛行性能とロバスト性のいずれの観点からも大きく向上することを示した.また,フライトシミュレータを用いたニューラルネットワークの学習結果からロバスト性の増大させるために必要な制御方式の変化について解析を行い,特に超低空飛行制御において重要である高度方向の制御に関してはロバスト性を増大させるには速度方向での制御方式の切換が必要となることが分かった.さらに,ニューラルネットワークのオンライン学習,適応バックステッピング法などの適応的飛行制御による高度制御実験を実施した.その結果,適応機構なしでは機体が数m/sの速度で上昇・下降してしまう疑似風(トリムの変化)を適応機構が働くことによりほぼ完全に打ち消すことができることを示した.
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