研究概要 |
本年度の本研究の成果は,非同期回路理論を用いたファジィ論理回路実現への基礎データの収集である.非同期回路理論を用いて設計された,基本演算回路やファジィ論理回路特有の機能回路(メンバーシップ関数の記憶,演算回路),また,それらを利用した非同期型ファジィ推論システムを,回路シミュレータやソフトウェア上で試作・動作させ,実用に向けての問題点を洗い出し,それらの基本性質や特徴を明らかにするとともに,実際の回路化に向けての基礎データの収集を行った. 17年度の成果は,前年度の知見を踏まえ,非同期の特色が生かせるファジィ推論システム(回路)をシミュレーション上で構築し,以下の点に注目し研究を行った. 【対象とした回路】 基本演算回路(ファジィ論理回路における基本論理演算を行う回路),基本機能回路(メンバーシップ関数の保持,メンバーシップ関数演算回路),推論基本回路(ファジィ推論を行う際の基本演算素子),非同期制御回路(各回路における非同期信号の伝播を管理する回路),推論規則保持回路(ルールベース情報の管理),ファジィ化回路(数値入力に対し,ファジィ化を行う回路),非ファジィ化回路(推論結果を数値に戻す回路),マッチング回路(メンバーシップ関数の一致度を計算する回路) ・上記回路が組み合わせられた回路の場合,個々の回路が正確に動作をしているか ・回路全体を見た場合,定義された通り機能しているか ・回路を機能単位で見た場合のそこでの処理にかかる時間 ・処理時間(遅延)による回路の動作挙動 以上の点を重点的に観察し,回路全体としての特性を明らかにした.さらに,機能単位や回路全体で見た場合の処理時間をもとに回路の動作挙動を確認し,思考速度モデルという観点でファジィ非同期回路を分析し,ファジィコンピュータの基礎としてのファジィ非同期論理回路の基礎データの収集に成功した.
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